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フランスのEU憲法条約否決は、この間のドイツ政治にとって、 第二の大きな出来事であった。
2005年6月14日
石塚 記
    第一の出来事は、その前の週のノルトライン=ヴァストファーレン州の選挙であった。30数年ぶりに社会民主党(SPD)が破れ、緑の党との赤=緑連合が崩壊した。これにより、州代表で構成される連邦参議院では、野党であるキリスト教民主・社会同盟(CDU=CSU)と自由党(FDP)が多数を占めることになったので、連邦議会で赤=緑連合の与党が法案を通過しても、参議院で否決される可能性がでてきた。

  ここで60年代のような大連合の奇策が飛び出すのではないかと噂され、もしそんかことになりば、憲法裁判所に違憲審査を求めるというような話まで飛び出した。これまで付き合ってくれた緑の党を袖にして、キリスト教民主・社会同盟と手を握るなどというのは「法的には犯罪ではなくとも、道徳的には罪だ」というような非難もあった。窮地
に立ったシュレーダー首相は、すでにドイツでは議会を通過したEU憲法条約案を批准してもらいシラクのフランス保守政権との関係の緊密さとEU統合の緊急課題をアピールし、風向きを変えたいと思っていたにちがいない。ところが、件の結果である。地盤沈下追い討ちが掛けられた格好だ。

  国内政治では、社会民主党の左派が勢いを増し、フランスでEU憲法条約に反対していた左派勢力との連携を強めた。旧東ドイツ社会主義労働党の流れをくむPDSとの選挙協力も噂されている。資本主義経済批判や雇用政策貧困が指摘れるが、その矛先は、保守系のキリスト教民主・社会同盟ではなく、同じ社会民主党の現首相に向けられている

  こうなるともう止められない。平日にインターネットを使って投票できるオランダの国民投票は、フランス以上の反対票が集まった。機を見て敏なる重商主義のお国柄である。負け馬には掛けない。一気にEU統合の危機が語られるようになった。

  しかし、考えてみれば、大陸法の成文憲法の国の法文化を判例法の法文化をこの機にヨーロッパ全体に広げようという思惑は、すくなくとも10年は遅れることになった。気の早い人は、「統合は終わった」と言い始めた。直接民主制の危うさを指摘する人もいる。「しかし」である。イギリスにはいまだ成文憲法はないのである。憲法はなくても
国家連合はありうる。果たして、シュレーダー=シラク連合は、ブレアーを訪問し、EUへの出資の増額を求めた。まるで、怖いお兄さんが若旦那をユスリに行くように・・ ・。

  ドイツは、来年、総選挙である。総選挙の年はワールドカップが開催される。出場を決めた開催国ドイツは、予選の戦況を眺めてている・・・。

 
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ドイツ刑法学会から 2005年6月6日 石塚 記
 
 

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