統一地方選挙を終え、総選挙をやるべきとの意見もあるようです。しかし、その前提
となる現行の選挙制度について、私見を述べたいと思います。
今の選挙制度は、衆議院は小選挙区と比例(党名記入)代表制度、参議院は地域により、定数1から複数、比例(党名か個人名記入)投票です。これらの制度については、死票の問題など、識者が指摘し、「一票の格差」違憲訴訟も続いています。
私が一番問題にしたいのは、議員の個人の主張が見えないことです。一部の政党の議員以外、数合わせで、一人ひとりの議員の主張がわかりません。
一例をあげると、以前、自民党の選挙公約であった「TPP反対」で、その後、推進したにもかかわらず、当選した議員が自民党の方針変更(裏切り)でも、党議拘束のもと、党の方針に従っていただけ、と開きなおって、個人として、反対から賛成の見解を述べることはありませんでした。離党することもありません。これでは、なんのための立候補時の公約か、有権者に対する裏切りでしかありません。
国民の意志を代表する代表議員制度でなのですから、国民の意志とは何かを考える必要があるのではないでしょうか。
現在は参照できないのですが、2008年に 国会議員(衆参かも記憶がないですが)を対象にした全国紙の開催した興味深いアンケート調査がありました。
質問項目は国政の中心と思えるもので、天皇、憲法、外交・軍事、経済などでした。新聞社がその回答を分類すると、自民党、民主党(当時)の議員の回答は、所属政党に限らず、7、8種類に分類されました。公明党、共産党の議員は、ほぼ所属政党で統一されていたと記憶しています。。
私が類推するに、アンケートから、10年以上経っており、今、同様のアンケートをとるなら、質問項目は、LGBT、ジェンダーに関する課題、、現状の岸田内閣の政策・主張などにより変わると思いますが、その回答は、10通りくらいに収斂されるのではないかと思います。これは、国民レベルでも、同じような回答の分類になるのではないでしょうか。
このような分類が選挙でも反映されるべきだと思いますが、その場合の選挙制度は、小選挙区制でも、政党を前提とした比例代表制でもないと思います。比例代表制は衆参で異なりますが、衆院の政党名記入と参院の政党名か個人名記入、しかも特別枠ありでは、個人の主義主張は埋もれてしまいます。
どんな選挙制度がいいか、様々な意見があると思いますが、政治学者はいまの選挙制度をどう考えているのでしょうか。
私が個人として考える「あるべき制度」は、実現可能な制度ではないかもしれませんが、衆参共に、2回投票する制度です。理由は、いまのテレビ・インターネット・新聞など国民の情報収集の状況と、従来の地元意識を考えると、妥協的制度が必要で、両方の国民の意識が生かせると思うからです。テレビやネットで知っいてる人も、地元の人も選びたい、との心境に合わせるためです。
全国レベルで1人だけを当選させたい場合は、同じ人に2回投票、地域の人を当選させたい人も2回投票、2人を当選させたい場合、別の人にそれぞれ投票することになります。
また、より実現可能性の高い制度を、と考えると、その突破口を開くのが、自民党内部での意見の相違を顕在化させることでの、中選挙区制の復活です。
小選挙区の区割り変更等により、同じ党に所属する現職同士、または後任候補が対決することになります。自民党内部でも、自民党から2名以上当選できる選挙制度を望む意見は従来からありました。
ちなみに、選挙改正案として、公明党は全国を複数に分割したブロック制での個人名投票、共産党は分割したブロック制での比例制を掲げています。
現状の選挙制度・公職選挙法などが、政党を前提とすること自体、問題があり、国民が自分の近い考えの候補者に投票しやすくる制度をつくることこそ優先すべき課題だと考えています。
(T.S.)