2023年2月6日、トルコ南部を大地震が襲いました。隣国のシリアとあわせて、発生から1週間で死者は3万5000人以上。発生直後は、連日連夜、痛ましいニュースが次から次へとインターネットやテレビを席巻しました。
鮮明に覚えているのは、今も内戦の続くシリアで震災から36時間後に救出された幼い姉妹についてのニュースです。妹を庇うようにして瓦礫の下から発見された姉の第一声は「あなたの召使になります」だったそうです。未曾有の大地震の中にあって、救助隊員を兵士と兵士と思い込み、服従を申し出る心理状態に幼い女児を陥らせているという現実。ときに今回のような天災に見舞われることのあるこの地球上で、人と人とが争いあい、殺しあう、「戦争」という名の人災が存在することへやりきれない思いでいっぱいになりました。
あれから2か月。この地震により、5万5000人が死亡し、150万人以上が家を失ったと報じられています。世界規模の物価高騰が追い打ちをかける中、多くの人びとが苦しい生活を余儀なくされていることが容易に想像されます。
上述した幼い姉妹のニュースを目にしてから、「自分にできることは?」と自問する日々です。トルコ・シリアとの距離は8500キロメートル以上あります。「現地に行って……」ということが難しいわが国においては、「募金」くらいしか思いつかないという人が多いのではないでしょうか。私もそうです。でも、「しない」より「する」の方が、ひとりでも多くの人を救うことができる可能性が高まるのは言うまでもありません。まずは自分たちのできることから。阪神淡路大震災や東日本大震災が起こったとき、世界各国の人びとから気にかけてもらったように、他人事ではなく自分事として今回のトルコ・シリア大地震を考える人が増えてくれると良いなと願う今日この頃です。
(H.O.)