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防衛省
I藤

 1月9日、防衛庁が省に移行した。
  正門に掲げられた看板はアルミ合金製の仮看板であった。見るからに仮モノであるその看板は、叩くとコツコツという音がするまるで厚めの木板でもあるかのような安っぽい感じがした。三ヵ月後には(想像するに)立派なブロンズ製の看板が出来上がってくるのだというが、省になったその日に無造作に握り拳で叩いてみた(素材を確認した)人間は私を除いて他にはいないだろう。

 『省に昇格』と表現されることが多い。
  確かに防衛庁は1954年に発足してから今まで『外局』として存在していたことから、省になることで長官も大臣となり予算要求や執行を内閣総理大臣を通さず直接財務大臣に求めることが出来ることになる。また、同様に法律の制定や高級幹部の人事について直接閣議を求めることが出来る。そういう意味では重要業務をすべて内閣総理大臣を通じて行っていった『外局』よりは昇格という表現は正しいのかもしれない。
  もう一つ大きな変更点は、「付随的任務」とされてきた海外派兵を「本来業務」と位置づけることだ。イラク戦争では小泉政権によりドサクサに紛れ早々と「イラク特措法」を
制定し、「国際平和維持活動」の名目の下、戦後初めて戦争地域に足を踏み入れる既成事実を作り堂々と後方支援を行った。今後はその都度特措法を制定しなくても恒久法としてその地位を獲得しておきたいという動きすらある。

 私が危惧する点は国家サイドのそのような動きも去ることながら、国民がそういった既成事実の積み重ねにより、また、マスコミの「省に変わった」という事実のみを伝える薄っぺらい報道により、国民意識がさらに「時代はそういう方向に向いている?!」と勘違いするようなベクトルを仕向けられているように思えてならない。

 同様の内容をWebニュースにも投稿したが、防衛省になることで「さらにPKOにより国際貢献できる」とか、「これで世界水準に追いつく」などという反応があった。
国民の多くは、報道を通じてしか事実を知り得ないことから、イラク派遣も、省昇格も一つ一つ既成事実として積み重なって進歩したかのごとく理解しているのであろうか。
省移行反対派の意見に対し、「国を守ろうとする人たちに批判する心境がわからない」とのコメントもあった。

 防衛省近隣の店舗には、「省・昇格祝い」などの表示をしているところも少なくない。これらの商店の表示は、このような巨大組織を得意先としている地理的関係からやむを得ないような気もするが、既成事実を積み重ね、憲法改悪を視野に入れている行政の実態。「行政権力に歯止めをかける」ことが「国民の権利を守る」ことだという憲法の大原則すらまともに理解されぬまま、次は国民投票法案の草案へと動き始めている。

 昨今は隣国に於けるミサイル発射や数々の国際テロなど、危機管理や安全保障がクローズアップされるようになったものの、そういうドサクサに紛れ国民に対する必要性の認識を植え付けたうえで、日本国憲法がかかげる平和主義を骨抜きにし、武力行使・交戦権の行使・軍隊としての性質を正当化しようとする憲法改悪気運に向いていることを国民一人ひとりが、決してテレビやパソコンのバーチャルゲームゲーム的発想ではなく、冷静に考えていく必要があると痛感した取材であった。

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