母語「長崎ことば」
S・K
 

 日本のことが好きで良か国にしたかって思っとる私たちは、私たちの代わりに日本のために働く人ば、ズルせんできちんとしたルールで選ぶ。選ばれた人たちは、外国の人たちとも協力して、日本を、私たちと未来の人たちが自由に生きらるっ国にする。そいから、政府はもう戦争したらいけん。日本をどんげん国にするか決めらるっとは、政府じゃなくて私たちやけんね。そげんことば言いたくて、この憲法ばつくったとよ。だいたいね、国の政治は私たちが、選んだ人たちに「代わりにやってね」ってお願いしてやってもらっとることよ。やけん、やってもらった良かことは、私たちのためのものやけんね。こいはどこの国でも変わらん考え方やし、この憲法はこの考え方でつくったとよ。私たちは、この考え方とは違う憲法、法令と詔勅は要らんけんね。

 日本のことが好きで良か国にしたかって思っとる私たちは、ずっと平和な世の中が続けば良かねって思っとるし、自分以外の人のことも大切にせんばいけんよねって思っとる。そいやけん、私たちと同じように、「平和が良かね」って思っとる外国の人たちのことば信頼することにしたけん。そいで、そんげん考え方ばもとにして、日本ば、ずっと幸せに暮らし続けらるっ国にしていくことば決めたけん。私たちは、「ずっと平和が良かし、いつだって一人ひとりのことが大事よ」って思っとる外国の人たちの中で、お手本になるごた国でおりたかって思っとるとよ。私たちは、全世界の人みんなが、怖か思いやひもじか思いばせんで、平和に暮らしていけるとは当たり前のことやけんねってことば、言いたかとよ。

 私たちは、どの国も、自分の国のことばっかり考えて、よその国のことば無視するごとあったらいけんって思っとるよ。この考え方はずっと変わらんよ。だってさ、この考え方は、「自分の国のことは自分の国で決めて、よその国のことば大事する」、そげん思っとる国が守らんばいけん考え方やもん。

 日本のことが好きで良か国にしたかって思っとる私たちは、日本はとっても良か国よって自慢できるごとなりたかって思っとる。やけん、こげん良か考え方の国になるように、めっちゃ頑張ることば決めたけんね!

 
・「母語」である長崎のことばで書きました。
・前文の中の「私たち」にはもちろん子どもも含まれます。なので、少なくとも社会科で憲法を初めて学ぶ小学校高学年の子どもには伝わるように書くことを心がけました。
・「名誉ある地位を占めたい」を、「お手本になるような国に『なりたい』」ではなく、「お手本になるような国で『いたい』」と表現しました。外国のお手本になるような国でいることは、目標とすることではなく、当たり前の事であると考えたからです。